2012年8月13日月曜日

メンバーの政治に対して思ってること~1~

 8月はivoteメンバーの個々人の政治に対する思いを発する月間ということで、まずは事務局のたっきぃが書いてみようと思います。
 今回は先週成立した社会保障と税の一体改革法案について思ったことを書きます。ちょっと長いですが、興味のある方は読んでみてください。また、あくまでも個人的な思いですので、ivoteの公式な見解ではありませんのでその点はご了承ください。

 8月10日午後、参議院で社会保障と税の一体改革法案が可決され、消費税率が2014年に8%、2015年に10%に引き上げられることが決まった。総理大臣である野田氏は記者会見で「なぜ一体改革をやらなければいけないのか。一つ目は社会保障の安定財源を早急に確保し、支えていかなければならない状況に陥っている。増収分はすべて社会保障として使うと約束したい。二つ目は未来を搾取するやり方はもはや通用しない。三つ目は国の財政への信用を失えば金融不安、経済不安、信用不安につながる。四点目は決めなければならない時に先送りをせずに決めきる政治だ。それが最大の政治改革だ」と述べた。ここでは、4点について一つ一つ考えてみよう。

 まず一つ目だが、社会保障の財源として一体改革(≒消費税増税)が必要だというわけだが、そのためには、消費税率をアップすれば税収がアップするという前提が必要になる。では、1997年4月に消費税率を上げたとき、税収が増えたのか。その検証が必要となる。図1は日本の一般会計税収の推移である。1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられたものの、5%になって以降1997年度を超える税収は得られていない。3%から5%に上げて税収は下がったのである。
 1997年度の税収は駆け込み需要によるものが多いから、1997年度と比較するのは妥当ではないと言われるかもしれない。しかし、1994年度の税収と比較しても2007年度が匹敵するくらいで他の年度は1994年度の税収よりも下回っている。
 また、アジア通貨危機や北海道拓殖銀行や山一証券の破綻があって景気が悪くなったから税収が減ったと言う意見もある。そうならば、戦後最長の好景気と言われた2000年代でも税収が回復していないので、2007年度でもまだアジア通貨危機の影響があると言うことになる。10年以上も前の金融危機を引きずっていると言うのだろうか。アジア通貨危機や北拓、山一の破綻が原因だというのは詭弁に過ぎない。
 結局、3%から5%に上げた際の教訓は、「消費税率を上げても税収が増えるとは限らない」と言うことである。(もちろん増える可能性もあるが)

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出所:財務省


 そして二つ目。「未来を搾取するやり方はもはや適用しない」ということだが、消費税率を上げることで、未来の世代の負担を増やすことにはならないのだろうか?当然のことながら、税率が上がってから支払う金額が多いのは、お年寄りの方よりも長く生きる若者である。若者の方が税率が上がってから生きる期間が長いのだから当然だ。こう考えると消費税増税は「未来を搾取するやり方」に他ならない。

 三つ目の国の財政への信用であるが、ただ消費税率を上げるだけで信用が上がるのだろうか。ギリシャの消費税率は23%だったが財政破綻した。消費税率を上げるだけでは何ら解決にならない。まして、前述したように消費税率の引き上げにより税収が減る可能性もあるので、そうなれば財政への信用は低下するであろう。

 最後に四つ目であるが、「決められない政治から決める政治へ」ということだが、間違ったことを決めるのであれば決めない方が良い。「決められない政治」とか「決める政治」とかで話をする問題ではないと思う。「決めた」ことによって目指していることに対して後退する場合もあるのである。

 以上、野田氏が記者会見で述べた4つの事について私的な意見を述べた。間違われないように一応書いておくが、私は消費税増税には反対ではない。というか、今後20年後、50年後の消費税増税に関して反対する人はほとんどいないだろう。20年後、50年後の財政状況、経済状況如何によっては消費税増税が必要な場合もある。しかし、実際現状を見てみると1997年の時よりも経済の状況は悪い。日経平均も当時は20000円を超えていたが、今は10000円すら割っている状況である。さらに、東日本大震災の復旧や原発事故の解決が未だの国難の状況で増税する必要があるのか。私はそう感じずにはいられない。

 そして、消費税増税する前にできることもまだまだある。民主党の小沢鋭人議員や馬淵議員や自民党、みんなの党が提案しているような日銀法改正、民主党の2009年のマニフェストにもある歳入庁の創設といったことは一刻も早く実現すべきだ。そうした様々な税率アップ以外の方法をやって、それでも足りなければ税率を上げるというのが筋なのではないだろうか。そういったことをせずに税率だけ上げれば、日本もギリシャのようになるかもしれない。(もっとも私は、日本の官僚は優秀なので、そうなる前に適切な対策をすることを確信しており、IMFの管理下に置かれるようなことはないと考えている)

 政治が若者世代の負担増となるような政策をしないように我々20代も政治をきちんと見て、投票に行って意思表示をしなければならないと思う。

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